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第32話  

しかし、二度目は?

 このまま、三人目、四人目と現れるのだろうか?

 振られたことがきっかけで、人生が好転し始めたのか?

 森岡翔もまた、少し戸惑っていた。

 システムを手に入れてから、やたらとモテるようになった気がする。

 最初は中村薫。

 そして、秋元詩韻。

 今度は佐野紫衣だ。

 しかも、全員、女神レベルの美女だ。

 誰を選べばいいんだ?

 バカな選択だ。

 全員、俺のものにしてやる…

 我に返った森岡翔は、立ち上がり、言った。「佐野さん、はじめまして。俺も、会えて嬉しいよ」

 二人は軽く握手を交わし、電話番号とラインIDを交換した。

 ちょうどその時だった。

 カラオケルームのドアが開いた。

 みんな、従業員が入ってきたと思った。

 しかし、最初に入ってきたのは、小太りで恰幅の良い中年男性だった。

 その後ろから、昨日、佐野紫衣と会う約束をしていた、黒崎監督が入ってきた。

 黒崎監督と井上海は今夜、他の投資家二人と食事をしていた。しかし、途中で佐野紫衣と彼女の友人たちが、このホテルにいるのを見かけたのだ。

 井上海は秘書に彼女たちを尾行させ、どの部屋に入ったのか確認させた。そして、他の二人の投資家の接待を済ませると、すぐにここへやってきたのだ。

 カラオケルームに入ると、黒崎監督は自己紹介をした。「皆さん、初めまして。黒崎と申します」

 そして、隣にいる小太りで恰幅の良い中年男性を紹介した。

 「こちらはシンゲンエンターテインメントの井上社長です。私たちは、皆さんとお知り合いになりたくて、お邪魔しました。皆さん、江南メディア大学の学生さんですよね?私と井上社長は、20億円規模の映画の出演者を探しに、江城に来ているんです。よかったら、一緒に一杯どうですか?」

 黒崎監督の言葉が終わると…

 井上海は、待ちきれないといった様子で佐野紫衣に近づき、言った。

 「君は佐野紫衣さんですね?シンゲンエンターテインメントの井上海と申します。お会いできて嬉しいです。君はとても魅力的です。うちの会社が投資している映画の主役を演じてもらいたいと思っているんです」

 井上海は、目の前の佐野紫衣をじっと見つめ、目を輝かせていた。

 とても美しく、魅力的な女性だった。しかも、自分よりも背が高かった。彼女と話をする時は、少し見上げ
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